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「すぱいす」 2026年8月号

【医療従事者によるリレーエッセー】
慈愛の心 医心伝心 vol.149

慈愛の心 医心伝心 vol.149

「その人らしい暮らし」を支える

「医療ソーシャルワーカー」は、病気・けがで入院した患者さんやご家族のさまざまな相談に応じる仕事です。治療、退院後の生活、介護、医療費、福祉制度の利用など、一人一人の状況に合わせて一緒に考え、必要な支援につないでいます。

病院で働いていると、「治療が終われば、それで終わり」ではないことを日々実感します。

ある患者さんは、退院許可は出たものの、前のように生活できるか不安を抱えていました。「家に帰りたい。子どもたちに『いってらっしゃい』『おかえり』を言ってあげたい。でも自分がつらそうにしているところは見せたくない」。家族を思う優しさと、退院への不安が入り交じっていました。そこで、退院に向けて患者さんやご家族と話し合い、多くの職種と連携し、少しでも安心して退院できるよう準備しました。

退院の日、「いろいろ準備ができたから安心です。家族と良い時間を過ごします」と笑顔で病院を後にされました。その姿を見送りながら、私たちが支えるのは「退院」ではなく、「その人らしい暮らし」なのだと改めて感じました。

病気やけがは、誰にも突然訪れる可能性があります。不安や悩みを一人で抱え込む必要はありません。医師や看護師だけでなく、私たち医療ソーシャルワーカーも、皆さんの生活を支える医療チームの一員です。これからも「相談してよかった」と思っていただけるよう、患者さんとご家族に寄り添った関わりを心がけていきたいと思います。


くまもと森都総合病院医療ソーシャルワーカー
佐藤 智織さん