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「すぱいす」 2026年7月号

【医療従事者によるリレーエッセー 】
慈愛の心 医心伝心 vol.148

慈愛の心 医心伝心 vol.148

「見える」をつなぐ愛の贈り物

視能訓練士は、視力・眼圧・視野の検査や斜視・弱視の訓練などを通じて、子どもから高齢者まで幅広い患者さんの「見える」を守り支える医療専門職です。私が勤務する施設では角膜移植を行っており、私は、移植を待つ患者さんへの対応や角膜提供時の移植コーディネーターとの連絡調整にも関わっています。

角膜は、目の一番外側にある透明な膜で、光を取り入れる窓のような役割をしています。角膜が病気やけがによって濁ると光を十分に取り込めなくなり、視力が大きく低下します。そのような方に再び光を届ける治療が角膜移植です。角膜は、亡くなられた方とご遺族の尊い意思によって提供されています。


移植を待つ患者さんが「もう一度見えるようになりたい」と順番を待つ姿を、日々そばで見ています。移植後、「見えるようになった」と涙を流す患者さんの言葉には、「家族の顔が見える」「これまで通りの生活が送れる」といった喜びが込められています。人生に再び明るい光をともす角膜移植。その瞬間に立ち会えることが、私が仕事を続ける大きな原動力になっています。

臓器提供の意思表示は、運転免許証やマイナンバーカード、スマートフォンなどを通じて行うことができます。県内で提供された角膜は、全て県内で移植に活用されており、昨年は18人の方が新たに光を取り戻しました。

臓器提供について考える機会があれば、ぜひ意思表示のことを思い出してください。その意思表示が誰かの「見える」につながる光になるかもしれません。


執筆者
くまもと森都総合病院認定視能訓練士
冨士登 謙司さん
熊本県視能訓練士会 会長
熊本県移植医療推進財団
移植推進委員

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