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「あれんじ」 2022年6月4日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニックQ&A】
歯の欠損

 Q.3歳の子どもがぶつかって乳歯を折り、抜きました。まだ永久歯は見えていません。そのままで大丈夫?

歯並びやかみ合わせに影響も 正常な永久歯列完成のため定期的な管理を
瀬口医院
はな小児歯科
院長
原田 華

◆乳歯だからとそのままにしないで

 歯の欠損には、先天的な欠如と、けがや虫歯などで歯を失ってしまう後天的なものとがあります。
 乳歯の欠損の場合、永久歯が生えてくるからとそのままにしていると、食事が取りにくいだけでなく、前歯がない場合は言葉を話し始める時期に発音しづらくなります。また、舌を前に出す癖がついてしまうと歯並びに影響します。
 乳歯列完成期(3歳頃)に乳歯の欠損があるときは、永久歯が正常な位置に生えるようにするための装置や、見た目や発音、習癖防止のための子ども用の入れ歯が必要なことがあります。
 欠損部をそのままにしておくと将来的に歯並び・かみ合わせが悪くなり顎の正常な発育を阻害する恐れがあるからです。正常な永久歯列完成のために定期的に歯科で管理されることをお勧めします。


◆レントゲンで分かる永久歯の欠如

 永久歯の先天的な欠如の発生頻度は約10%。10人に1人が1本以上大人の歯がないことになります。
 検診や虫歯の治療、乳歯がなかなか抜けない、乳歯が抜けたあとに永久歯が生えてこないときなどに、歯科でレントゲンを撮ると永久歯の先天的な欠如が分かります。欠如が判明したら、まずはその場所にある乳歯が抜けないようにしますが、その乳歯が抜けたあとは隙間ができてしまいます。欠損している本数が少ない場合は矯正治療で隙間を閉鎖できることもあります。
 大人になってその乳歯が抜けてしまった場合は、通常の歯科治療と同じになります。両端の歯を削ってブリッジをするか、入れ歯、人工の根を骨に埋め込むデンタルインプラントを行うことになります。