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「あれんじ」 2021年8月7日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第95回】「患者さんのため学び続けたい」

女性医療従事者によるリレーエッセー【第95回】

【第95回】「患者さんのため学び続けたい」
九州ルーテル学院大学 
人文学部 心理臨床学科
准教授 高野 美雪

臨床心理士・公認心理師

 私が心理職として最初に勤務したのは、小児神経科と共に神経内科を開業している東京の病院でした。患者さんの年代は生後3カ月から80代までと幅広く、難病、神経疾患、発達障害、中途障害による高機能障害、心の悩みなど、さまざまな方々とお会いしました。

 最初は戸惑いもありました。それを解決しようと積極的に周囲に質問をし、勉強会などに参加しました。そこで出会った医師から「神経学の分かる心理職になってほしい」とよく励まされました。

 また、患者さんから「私から学んで」と言っていただき、病気への理解を深めるとともに、私にできることは何なのかを考えました。日々困っている状況がある方々には、少しでも楽しく毎日が過ごせるよう生活や学習メニューを検討しました。

 こういった経験から、私は心理職が医療分野で働く責任の重みや学び続ける意義、心理学の知識の大切さを意識するようになりました。

 現在、大学教員として心理検査法や、教育や医療に関する心理学を大学生や大学院生の皆さんに教えています。今春からは数年ぶりに小児科で月数回勤務をしています。医師をはじめ医療スタッフの皆さんが、心理職とともに患者さんに真摯にご対応いただいていることに日々助けられています。

 これからも、医療現場での経験を重ねながら、患者さんのお役に立てるよう学びを続けていきたいと思います。