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「あれんじ」 2021年6月5日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
突発性発疹症

Q.突発性発疹とはどんな病気ですか。

熱が下がると全身に発疹

 突発性発疹とは乳幼児期の赤ちゃんの代表的な感染症で、発熱と発疹を伴う風邪の一種です。2種類のヘルペスウイルスが原因のため、2回感染することもあります。患者数は年間一定で流行はなく、主に家庭内で感染していると考えられています。

 急に40度近い高熱が出て、熱は1〜3日ほど続きます。熱が下がると全身に発疹が出現して診断されます。「気が付いたら39度」「機嫌は良いが高熱が2、3日続く」「熱が下がったと安心していたら全身に赤いぶつぶつが広がった」などの声が典型的な症状を表しています。


基本的には自然に治る病気

 基本的には、特別な治療を必要としない病気ですが、日本人は発熱の際にけいれんを起こしやすいので注意が必要です。また、まれに脳炎や脳症といった脳の障害を引き起こす原因となる場合もある(インフルエンザに次いで2番目に多い)ので、機嫌、飲水量、哺乳力、尿量、意識状態などを観察することが重要です。

 けいれんの場合だけでなく、ぐったりして元気がない、哺乳力が弱い、不機嫌で泣き続ける(耳を痛がる場合も)、寝てばかりで起きない、などの場合には受診が必要です。

 解熱後の発疹が出ている時期にも脳症(けいれん)の報告があります。何となく元気がない場合は、外出して連れ回したりしないようにする注意も必要です(病児保育など許可された場合は問題ありません)。

 基本的には自然に治る病気ですが、子どもの様子の変化に気を付けて過ごすことが重要です。早めにかかりつけの小児科を受診し、自宅での過ごし方や注意点、急に悪くなったときの救急センターを確認しておきましょう。


まれに脳炎や脳症の原因になることも。 機嫌、飲水量、哺乳力、尿量、意識状態などを観察して
熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学講座
准教授 
松本 志郎