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「あれんじ」 2021年2月6日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
RSウイルス感染症

初めて冬を迎える赤ちゃんがいます。RSウイルス感染症が怖いと聞きました。

6カ月未満の乳児などは重症化に注意 感染予防を徹底しましょう

気管支炎や肺炎の原因に

 毎冬、インフルエンザと交互に流行するRSウイルス感染症。健康な大人にとっては軽い鼻風邪です。しかし、乳児や高齢者では気管支炎や肺炎を起こす原因となる場合があります。

 保育園などからや、症状が軽い兄や姉、両親が家庭内に持ち込み、未就園の子どもに感染させるのが典型的です。

 症状は、鼻水や38〜39度の発熱が数日続いた後、激しい咳(せき)がみられます。軽ければ7〜12日でよくなりますが、生まれて初めてかかった乳幼児の3分の1は、重症化して細気管支炎や肺炎に進展する場合があり、喘鳴(ぜいめい=ゼイゼイという呼吸音)や陥没呼吸(息を吸い込むとき胸の一部が陥没する)がみられることがあります。


家族で予防を
熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野
松本志郎准教授

 早産児、6カ月未満の乳児、呼吸器・循環器に持病のある方、免疫力の弱い方、高齢者では重症化が報告されています。新生児に感染すると咳・鼻汁などの症状がない状態で突然呼吸が弱くなる「無呼吸」を引き起こす場合があるため、危険です。そのため、重症化のリスクのあるご家族では予防が重要です。

 このウイルスはワクチンを作るのが難しく、予防接種はありません。そのため重症化の危険性がある患者には予防のために抗体注射が実施されています。しかし、冬場にはこのウイルス以外にも同じ症状を起こすヒトメタニューモウイルスや、新型コロナウイルスもあります。まず、一人一人が基本に立ち返り、感染予防の原則である手洗い、うがい、手指消毒、マスク着用を徹底して、家庭内にウイルスを持ち込まないよう配慮した行動をとることが大事でしょう。