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「すぱいす」 2025年7月号

【子育て応援クリニック】
気付きにくい腎臓の異常を早期に発見

気付きにくい腎臓の異常を早期に発見

Q.「検尿」で何が分かりますか?

子どもの腎臓の病気には、先天性腎尿路異常、尿路感染症、ネフローゼ症候群、急性糸球体腎炎などがあります。それらの病気は、まぶたや足のむくみ、血尿などの症状で分かることもありますが、腎臓は肝臓などともに「silent organ (沈黙の臓器)」といわれるように、自覚症状が少なく静かに進行するため、注意が必要です。

そこで、園や学校での検尿などで早期発見することが大切になります。尿検査では、尿タンパクと尿潜血(血尿)、尿糖が尿に出ていないかを調べます。いずれも「陰性」が正常です。


検査には朝一番の「中間尿」を採尿

成人の検尿でもいえることですが、正確な検査のためには、前日寝る前に排尿し、朝一番(洗顔や朝食の前)の尿を採ることが望ましいです。可能であれば最初の尿は少し捨て、その後に出る「中間尿」を採ってください。

注意点として、ビタミンCを多く摂取すると、実際は尿潜血が陽性であっても、検査で陰性(偽陰性)になることがあり、病気の発見を逃してしまいます。尿検査の前日は、ビタミンC入りの飲み物やサプリメントは控えましょう。


必要に応じて適切な検査や治療を

腎臓は、尿を作って老廃物を排泄(はいせつ)するだけでなく、ナトリウムやカリウムといった電解質の調整、体内の酸・アルカリのバランスの維持、骨の代謝や貧血予防、血圧調節など、多様な働きをする大事な臓器です。

尿検査で異常が見つかればもちろんですが、普段から尿に気になることがあれば、かかりつけの小児科を早めに受診することが大切です。必要に応じて検査や治療につなぐことが、子どもの健康を守ることになります。


お話を聞いたのは
熊本大学病院小児科特任助教 永田 裕子さん

園や学校の尿検査で腎臓の病気をチェック。子どもの健康を守りましょう