すぱいすのページ

「あれんじ」 2022年7月2日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニックQ&A】
新生児スクリーニング検査

Q.産婦人科で「新生児スクリーニング検査」のポスターを見ました。
どんな検査ですか。

生まれてすぐに病気を発見 早期治療によって後(のち)の障害を防ぎます

20種類以上の病気を無料で検査

 生まれてしばらくは元気に見えることから、知らずに何もしないでいると、やがて障害が残るような症状が出てくる病気があります。そのような病気を、生まれてすぐに発見する方法の一つが新生児スクリーニング検査です。早く病気を見つけることで、その発症を防いだり軽くしたりすることができます。
 検査を行うには保護者の同意が必要ですが、ほぼ全ての赤ちゃんが受けています。生後4〜6日の赤ちゃんのかかとから少しだけ採血し、それを専用のろ紙に染み込ませて乾燥させます。こうして作られた「乾燥ろ紙血」を使い、アミノ酸代謝異常症など20種類以上の病気の検査が無料で行われています。

「拡大スクリーニング」には費用の一部補助も

 ここ数年で新しい薬や検査方法が発明され、無料で検査されている病気以外にも、早い発見によって障害を予防することができる病気が増えています。そのような病気にまで検査を広げる「拡大スクリーニング」がいろいろな地域で行われるようになりました。
 熊本県では、2021年から脊髄性筋萎縮症(SMA)という筋力低下が進んでいく難病を、拡大スクリーニングとして検査しています。それにより、全国で初めてスクリーニング検査でSMAの赤ちゃんが発見され、筋力が低下する前に治療を行うことができたという例があります。
 拡大スクリーニングは試験的に行われる場合を除き有料です。熊本県と熊本市では、全国で初めて拡大スクリーニング費用の一部の補助を受けられるようになりました。将来的には全国どこでも、無料で拡大スクリーニング検査が受けられるようになることが望まれます。


熊本大学病院
小児科
医師
澤田 貴彰