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「あれんじ」 2021年10月2日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニックQ&A】
急性陰嚢(いんのう)症

Q 男の子の親として、睾丸(こうがん)などの病気を知りたいです。

陰嚢が急に腫れ、痛んだら できるだけ早く受診を
熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学講座
准教授 松本 志郎

●緊急を要する精巣捻転症

 陰嚢が急に痛み腫れる病気「急性陰嚢症」についてお伝えします。以下の疾患によって引き起こされます。

【精巣捻転症】
 急性陰嚢症の全体の3分の1を占める。精巣(睾丸)が急にねじれてしまうため、放置すると精巣の血流が低下、壊死して、摘出が必要となる場合がある。できるだけ早く処置(手術)が必要。
 陰嚢の痛み・腫れだけでなく、腹痛・鼠径部(そけいぶ)痛・嘔吐(おうと)などの症状も。乳児には少なく年齢が上がるほど多くなるが、どの年齢でも陰嚢が腫れた場合は注意が必要。

【精巣上体炎】
 精巣上体(副睾丸)の炎症。風邪や膀胱(尿道)炎などの合併症の一つ。子どもの急性陰嚢症では最も多く、主に乳幼児期から小学生くらいまでに発症する。痛み止めや抗菌薬、あるいは抗ウイルス薬で治療する。

【精巣垂捻転症】
 精巣自体は異常がなく、その付属器がねじれる病気。痛み止めでしばらく経過を見ることができる。小学生のころに起きることが多い。

●我慢せずに相談を

 これらは超音波検査で診断しますが、精巣捻転症は緊急性があります。症状を認めたらなるべく早い受診が必要です。

 小さいお子さんは痛みの位置をうまく言い表せない、思春期のお子さんは恥ずかしがってはっきり言わないという場合もあります。腹痛との訴えで診察したが、念のためパンツを下ろして陰嚢を確認してみたら腫れており、精巣捻転症に気付いたという経験もあります。

 陰嚢部が腫れ、痛いときには我慢せず親に相談するよう、日頃から伝えておくことも大事です。