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「あれんじ」 2021年7月3日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
熱中症

Q.子どもの熱中症について教えてください。

体温調節力の低下も一因

 熱中症は、急な気温の上昇のために体温が上がって水分や塩分のバランスが崩れ、さまざまな症状を引き起こす「熱による健康被害」です。梅雨の晴れ間や梅雨明けの急激に気温が上がった風の少ない日に起こりやすくなります。これは、空調などで汗をかく機会が減り、体温調節力(汗を出して体を冷やす力)が鈍ったことも一因と考えられています。

 熱失神(めまい・失神)、熱けいれん(筋肉のこむら返り)、熱疲労(頭痛・全身倦怠(けんたい)感)などの症状が現れます。適切な処置をせずに放置すると意識が低下して熱射病と呼ばれる状態になり、命に関わる場合があります。いったん症状が出ると危険です。喉が渇く前に定期的に水分を補給する、汗をかき暑さに体を慣れさせる、などの予防が大事です。


乳幼児は車中、中高生は運動時に注意を

 年齢により発症しやすい環境があります。乳幼児は車内への閉じ込め事故、中高生は運動時に多いことが知られています。車の中は、直射日光が当たって急激に温度が上昇します。決して子どもを車に残して離れてはいけません。

 中高生も初期に体調変化を自覚することは難しく、周囲のサポートが大事です。急に顔が赤くなる、ぐったりする、こむら返りで痛がっている、などが見られたら、涼しい場所に移しミネラルを含む水分を取らせましょう。首の両側部を冷やすことも効果的です。しばらく目を離さず、よくならない場合は救急車で病院へ行くようにしてください。

 環境省は、熱中症の発生しやすい条件を数値化した「暑さ指数(WBGT)」を地域ごとに発表しています。登録すればLINEに熱中症警戒情報も送付してくれます。


命に関わる場合もある熱中症 日常的な予防が大事 発症しやすい環境の把握を
熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学講座
准教授
松本 志郎