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「あれんじ」 2020年9月5日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
運動器検診

「運動器検診」という聞き慣れない検診について教えてください。

増えている運動器障害

 学校では、新年度を迎えると学校健康診断が行われます。2016年度から、この健康診断の項目に「運動器検診」が追加されました。運動器とは、体の運動に関わる骨、関節、筋肉、神経などの総称です。

 現代の子どもたちは以前より運動器障害が増えています。その背景には、運動不足による体力や運動能力の低下と過度の運動によるスポーツ障害の二極化の問題があります。そこで、児童・生徒の運動器障害の解消を図るために、運動器検診が導入されました。

 運動器検診は、脊柱及び胸部の形態の異常を確認し、▽腰を曲げたり反らしたりして運動時の痛みがあるか▽肩や肘、膝関節に動きの悪いところや痛みがないか▽片脚立ちが5秒以上できるか▽しゃがみ込みができるかーを確認します。

 異常があると学校医が診断した場合、整形外科専門医による検査を行います。熊本県では昨年度、142例の脊椎側弯(そくわん)症(背骨が曲がる病気)が見つかり、このうち2例が手術になっています。また、大腿(だいたい)骨頭すべり症という、手術が必要な脚の付け根の疾患も見つかっています。


保健調査票にしっかり記入を

 保護者の方は、新年度に学校から配布される保健調査票の中にある運動器に関する調査票にしっかり記入していただくことをお願いします。

 また、学校から専門医の受診を勧める書類をもらったら、必ず整形外科専門医を受診してください。専門医を受診される方がまだ少なく、疾患が見逃されている可能性があります。

 子どもの疾患を早期に発見し早期に治療を開始することは、発育期の子どもにとって大変重要です。


発育期の子どもの運動器の異常を早く見つけ 治療につなげる大事な検診です
おぐに整形外科
院長
梅田 修二