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「すぱいす」 2026年9月号

【医療従事者によるリレーエッセー】
慈愛の心 医心伝心 vol.150

慈愛の心 医心伝心 vol.150

託された検体に向き合う

私は人吉医療センターで、病理検査に携わる臨床検査技師として働いています。

「病理検査」と聞いても、どのような仕事をしているのか、なかなかイメージしにくいかもしれません。私たちは患者さんと直接お会いする機会は多くありません。しかし、病理組織や細胞を通して患者さんと向き合い、その先にある診断と治療を支えています。

私たちが扱うのは、手術や内視鏡検査など、患者さんにとって負担を伴う処置で採取された、簡単には採り直せない大切な検体です。一つ一つを丁寧に扱い、品質の高い標本を作製することが、適切な診断と治療につながります。その役割を果たせたとき、この仕事の責任と喜びを改めて実感します。

そのために、患者さんの症状や経過などの情報を臨床医と共有し、組織診断をする病理医とも十分にコミュニケーションを取っています。

近年は、遺伝子検査など検査法が進歩しています。採取した検体が数年後の検査において必要となる場合もあるため、検体を適切に保存・管理することも、私たちの重要な役割です。

v私はこれからも、「検体の向こうには患者さんがいる」という思いを胸に、検体と真摯に向き合っていきたいと思います。皆さんも、健診を定期的に受けていただき、気になる症状があれば早めに受診してください。その小さな一歩が、未来の自分や大切な人を守ることにつながると、私は考えています。


独立行政法人 地域医療機能推進機構
人吉医療センター 臨床検査部
坂本 純輝さん
細胞検査士 国際細胞検査士
認定病理検査技師