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「あれんじ」 2018年3月3日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第68回】朝起きが苦手な子は?

女性医療従事者によるリレーエッセイ【第68回】

【第68回】朝起きが苦手な子は?
国保水俣市立
総合医療センター 
小児科
医師 石飛 順子

 私は中学生の頃から朝起きるのが苦手でした。午前中は体がだるく、学校の開始時間に間に合うように車で送ってもらうこともありました。就寝時間が遅くなることも原因だと思っていましたが、小児科医となり、それだけではなかったのではないかと思うようになりました。

 小児科の一般外来では、頭痛や立ちくらみなどの症状で受診される中学生がいますが、それらの子どもたちに「起立性調節障害」という病気が疑われることがあります。これは、自律神経機能が悪いために、起立時に身体や脳への血流が低下する病気です。朝起き不良、朝の食欲不振、全身倦怠感、頭痛、立ちくらみ、腹痛など症状はさまざまです。

 自律神経機能の障害は、午前中に著しいため、登校しぶりや朝のなまけのように思われることが多いのです。午後からは体調が回復し、夜には元気になり目がさえて眠れないこともあります。

 決して珍しい病気ではなく、小学校高学年から多くなり、中学生で急増します。私もこの症状を抱えて思春期を過ごしたのだと思います。

 診断がつき、適切な治療が行われれば症状が軽減していきます。日常生活の改善も効果がありますので、学校の理解と協力も必要となります。

 今も私は朝起きが得意ではなく、患者の子どもたちに日常生活の指導を行いながら、自分の生活を見直す毎日です。

 お子さんの朝からの起床困難に悩まれているご家族の方は、一度小児科を受診されてはいかがでしょうか。